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平成29年度秋季学位授与式を実施しました

平成29年9月16日(土)、産業技術大学院大学秋季学位授与式を実施しました。この日、情報アーキテクチャ専攻5名、創造技術専攻2名が修了しました。修了生に向けた学長の式辞を紹介します。

川田誠一学長 式辞

川田誠一産業技術大学院大学学長

本日、 修士の専門職学位を授与される7名の皆さん、まことにおめでとうございます。本日ここに情報システム学修士5名、創造技術修士2名が新たに生まれます。教職員ともども皆さんの学位授与を心からお祝い申し上げます。またこれまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。

 さて、平成18年に開学以来今年度4月までに合計1,090名の学生募集に対して、1,144名の学生が入学しました。累計しますと平成18年に開設した情報アーキテクチャ専攻では本日をもって、情報システム学修士449名、平成20年に開設した創造技術専攻では創造技術修士358名、合計807名の修士を本学は送りだすこととなりました。長期履修生として長く学んでいる方や、業務多忙、転勤、出産などで学業を中断せざるを得ない方がいるなかでの数字です。

 産業技術大学院大学で学位を授与される皆様は、情報システム学修士(専門職)、創造技術修士(専門職)のようにそれぞれの専攻が目的とした高度専門職人材育成の専門職学位課程を修了した証としての学位が授与されます。専門職大学院だけが付与できる専門職学位であります。

専門職大学院はまだ広く社会に知られているとはいえません。これを踏まえ文部科学省のホームページには、一般向けの専門職大学院の説明がございます。『専門職大学院は、科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う、社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人養成へのニーズの高まりに対応するため、高度専門職業人の養成に目的を特化した課程として、平成十五年度に創設された』ものであります。『制度創設時から法曹人材を育成する法科大学院、会計、ビジネス・MOT(技術経営)、公共政策、公衆衛生等の様々な分野で開設が進み、平成二十年度には、実践的指導能力を備えた教員を養成する教職大学院が開設されています。』

 産業技術分野の高度専門職人材を育成する専門職大学院としては、東京大学が設置している原子力専攻の専門職大学院や京都、神戸に設置されている私立の情報系専門職大学院があるものの、本学のように高度情報人材育成とデザインと工学を融合した高度ものづくり人材育成を総合的に実施している専門職大学院は日本でも本学だけであり、このユニークな教育の実践について、文部科学省を始めとして政府機関からも本学に大きな期待が寄せられるようになってきました。

 専門職大学院の制度上の特徴は、『理論と実務を架橋した教育を行うことを基本としつつ、少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとること、研究指導や論文審査は必須としないこと、実務家教員を一定割合置くこと』などであり、これらは設置基準で定められています。本学はこのような基準に基づいて教育システムを開発するなかで諸外国の調査を踏まえて、開学当初からプロジェクトを中心に据えた教育プログラムを実施し、それを継続的に改善発展させてきました。先ごろその成果をAIIT PBL Methodとして取りまとめたところです。

平成29年度秋季学位授与式

本日学位を授与された皆様は、このAIIT PBL Methodを実践する授業科目の履修により、 高い職務遂行能力を獲得されました。 このことは、皆様の今後のキャリアアップ、キャリアチェンジ、 スタートアップにおいて大きな力となることと確信しています。

 さて、専門職大学院が社会からの高い評価を得て、将来に向けて発展を遂げていくためには、『関係する産業界、学協会、職能団体、地方公共団体等との連携を図りながら、制度の趣旨を踏まえ、理論と実務を架橋した実践的な教育の充実に不断の努力をしていくこと』が求められています。本学では、日本を代表する産業界のリーダーの方々を委員とし、日本IBM名誉相談役の橋本氏を委員長とした運営諮問会議を設置しています。また、地域の自治体や信用金庫などの諸機関や産業界と連携し、東京都が設置した専門職大学院に相応しい活動を継続し実施してきました。

本日修了される皆さんは、このような特色あるユニークな教育プログラムで学ばれました。そして、皆様が実践されたプロジェクトの中には、産業界との連携や、自治体との連携、さらには本学と連携しているASEAN諸国の大学との共同プロジェクトなどがあったことでしょう。

 そして、本学の修了生の皆様方のプロジェクトはいずれも高いレベルの成果をだしており、それらのプロジェクトを実施することで獲得した皆様の業務遂行能力と学業成績を総合的に判定して、本日ここに修士の専門職学位が授与されることになったわけでございます。

 さて、皆さんご承知の通り、我々は世界のダイナミックな動きの中で生活を営んでいます。直近では北朝鮮が核開発、ICBM開発などで国際社会に挑戦している姿を目の当たりにしています。また、地域紛争が世界的に波及し海外で仕事をする日本人、日本人だけではなく多くの人の生命も危険にさらされるような事態もございます。この国においても被災地の復興はまだまだの状況であり、エネルギーの確保、食料の確保、少子高齢化問題、国の安全保障の問題など様々な課題があります。

川田誠一産業技術大学院大学学長

特に最近のことですが政府が人生100年時代を見据えた人づくりに着目するようになりました。これはどの年齢層にとっても新たな実験に直面することになります。老いも若きも経験したことのない時代を生きていることになります。しかし、本学で学んだ皆さまは恐れることはないかと思います。すでにこの実験を先取りし、人生を見つめなおした方ばかりですから。

 このような時代背景の中で、社会や自身の課題解決のために更なる高みを目指して本学に学び、本日学位を授与される皆様を我々は誇りに思います。

 どうか皆様、本学で学んだ知見を活かし、幸せな輝かしい人生を歩んでください。

 本日はまことにおめでとうございます。

平成29年9月16日
産業技術大学院大学 学長
川田誠一

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