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令和元年度秋季学位授与式

 令和元年9月21日(土)、産業技術大学院大学秋季学位授与式を実施しました。この日、情報アーキテクチャ専攻5名、創造技術専攻3名が修了しました。修了生に向けた学長の式辞を紹介します。

川田誠一学長 式辞

川田誠一産業技術大学院大学学長

 本日、修士の専門職学位を授与される8名の皆さん、まことにおめでとうございます。本日ここに情報システム学修士5名、創造技術修士3名が新たに生まれました。ご列席の来賓の方々、島田理事長はじめ法人幹部、教職員ともども皆さんの学位授与を心からお祝い申し上げます。またこれまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。

 さて、平成18年開学以来今年度4月までに合計1,300名の学生募集を実施し、1,370名の学生が入学しました。
 本日の学位授与により、累計しますと平成18年に開設した情報アーキテクチャ専攻では情報システム学修士550名、平成20年に開設した創造技術専攻では創造技術修士426名、合計976名の修士を本学は送りだすこととなりました。長期履修生として長く学んでいる方や、業務多忙、転勤、出産、子育てや介護などで学業を中断せざるを得ない方がいるなかでの数字です。

 本学のように高度情報人材育成とデザインと工学を融合した高度ものづくり人材育成を総合的に実施している専門職大学院は日本でも本学だけであり、このユニークな教育の実践について、文部科学省を始めとして政府機関からも本学に大きな期待が寄せられるようになってきました。
 実際、文部科学省がここ3年間、本学を研修場所に選び、北は北海道から南は沖縄までの大学職員百名以上が毎年本学を訪れ、社会人大学院の運営のノウハウを学んでいます。そのときの講義で私が強調していることは、社会人が学びやすい環境を大胆に作っていくことが重要であること、高校卒業後直ちに大学に入学し大学院に進学した学生を受け入れる従来の大学院の常識からいったん離れて社会人、それも22歳から70歳台までの多様な経歴を持った学生を対象とした学びの仕組みを構築する必要があることを力説しました。今後は、本学のような大学院が当たり前のように運営される時代が来るのではないかと考えております。

令和元年度秋季学位授与式

 さて、専門職大学院が、社会からの高い評価を得て、将来に向けて発展を遂げていくためには、『各専門職大学院が関係する産業界、学協会、職能団体、地方公共団体等との連携を図りながら、制度の趣旨を踏まえ、理論と実務を架橋した実践的な教育の充実に不断の努力をしていくこと』が求められています。本学では、日本アイ・ビー・エム株式会社名誉相談役の橋本氏を委員長として、日本を代表する産業界のリーダーの方々を委員とする運営諮問会議を設置しています。また、地域の自治体や信用金庫などの諸機関や産業界と連携し、東京都が設置した専門職大学院に相応しい活動を継続し実施してきました。
 このような本学の活動は文部科学省の制度設計にも影響を与え、すべての専門職大学院が本学の運営諮問会議のような会議体を設置することが法的に義務付けられるようになりました。まさに、本学が日本の高度専門職人材育成の先陣を切っているといっても過言ではありません。

 特に、本学の特徴の一つであるPBL型教育についても国内外で注目されております。そのような状況に鑑み本学のプロジェクト型教育の方法論をAIIT PBL Methodとして和文と英文でそれぞれ取りまとめました。これを内外に発信してきたところです。
例えば、エジプトの高等教育省でも本学の取組が着目され本学との連携を模索中です。そして、本学教員と私のチームが今年の3月にエジプトのカイロを訪れ、精力的に本学の学修システムに関するワークショップを開催し、今後の連携のための基礎作りをしてきました。また本学教員が学生と協力して海外でPBLを展開する試みも今年度は数多く実施されました、ASEAN諸国で政府機関や国際機関などでPBLの成果を発表した学生もこの日を迎えたことでしょうし、スコットランドのグラスゴーでヨーロッパの各地から集まった学生と一緒にワークショップに参加した学生も今日のこの日を迎えたことと思います。そして、本日学位が授与された皆様は、2月11日に開催されたAIIT PBLプロジェクト成果発表会において、その学びの集大成を披露されました。

 皆様が、実践されたプロジェクトの中には、産業界との連携や、自治体との連携、さらには本学と連携しているASEAN諸国の大学との共同プロジェクトなどがあったことでしょう。プロジェクトマネジメント、アジャイル開発、拡張現実感の応用、地域振興、新規サービス設計と提案、ビッグデータ活用サービス開発、新規手法によるソフトウエア開発、ロボティクス応用、サイバーセキュリティ、Society5.0を視野に入れたプロジェクト、高齢者の自立支援、SDGsの実現、コミュニケーションデザイン、地域社会における移動問題の解決、健康価値をテーマとした人生100年時代を視野に入れたプロジェクトなど、いずれも先進の課題を独自に設定し、斬新な方法を開発して課題解決に挑まれました。
皆様は高いコンピテンシーを獲得され、一人の天才の力とは異なるチームが発揮する天才の力で様々な課題を突破する能力を獲得したことと思います。そして、幅広い人脈と素晴らしい思い出も手に入れました。
 このことは、皆様の今後のキャリアアップ、キャリアチェンジ、スタートアップにおいて大きな力となることでしょう。

 どうか皆様、本学で学んだ知見を活かし、幸せな輝かしい人生を歩んでください。
 本日は誠におめでとうございます。

令和元年9月21日
産業技術大学院大学
学長 川田誠一

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