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第133回コラム「健康寿命デザイン講座が始まります」

2021年7月6日

田部井 賢一 助教

健康寿命という言葉をご存知でしょうか。

「厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト」には、以下の記載があります。

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健康寿命(けんこうじゅみょう)/ healthy longevity /

WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間。

国連の世界保健機関(WHO)は健康寿命という新しい寿命の指標を取り入れました。これまでの平均寿命はいわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間を含むため、生涯の健康な時期とに大きな開きがあることが指摘されておりました。

日本ではこの寝たきりの期間が欧米各国と比べても長く6年以上にわたります。厚生労働省の掲げる「健康日本21」でもこの「健康寿命の延伸」を目的に種々の施策がなされています。

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本学では、今年度から履修証明プログラム「健康寿命デザイン講座」(https://aiit.ac.jp/master_program/certification_program/)を開講します。

本プログラムは、少子高齢化時代の健康寿命分野の価値創造と問題解決のために、医療福祉とデザイン、情報工学を融合し、健康寿命に関連する分野の知識の習得と、デザイン思考を応用した具体的な⼿法の習得を⽬的としています。

上記にもありますが、健康寿命とは、WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から認知症や寝たきりなど介護状態の期間を差し引いた期間のことです。これまでの平均寿命は認知症や寝たきりといった介護を要する期間を含むため、生涯の健康な時期と大きな開きがあることが問題視されてきました。一般的に健康寿命は平均寿命から10年を引いたものと言われていますが、日本においては寝たきりの期間が欧米各国と比べても長く6年以上にわたるという問題があります。

人類がかつて遭遇したことのない高齢化社会をわが国は迎えようとしています。一人の高齢者を支える現役世代の人数は、1965年には 10.8人であったのが、2015年には 2.3人となり、2065年には 1.3人にまで減少すると予想されています。このままではわが国の医療・福祉・経済が破綻してしまうことは火を見るよりも明らかであり、国家の根幹を支える家庭や地域社会の崩壊にもつながると危惧されます。これを防ぐには、少子化を改善して現役世代の人数を増やすことに加え、健康寿命の延伸すなわち天寿を全うする直前まで健康で過ごせるようにすることと、不幸にも病気や障害を負った場合にもできるだけ長い間、住み慣れた自宅と地域で過ごせる態勢を整えることが必要です。そのためには、中年期からの成人病の適切な管理とその重要性の啓発や社会制度の整備、健診データの健康維持のための有効活用と言ったソフト面に加え、心身の健康を維持・管理・増進するための、あるいは病気や障害を負ったひとのケアやリハビリのためのデバイスの開発などが必要です。本プログラムは“少子高齢化時代の健康寿命”というわが国の喫緊の課題への対処法を、多面的なアプローチにより探ろうというものです。

本プログラムは、「少子高齢化時代の健康寿命」そして周辺領域を学び、これに関わるライフデザイン指向、介護ケアデザイン指向、ビジネスデザイン指向、社会システムデザイン指向の方を対象としています。これまでの経験は問いませんが、少子高齢化時代の健康寿命を学ぶ必要性や関心度が高い方を想定しています。

  • 高齢者に寄り添って生きる、ライフデザイン指向のユーザ:自分または家族の生き方の構想を、認知・身体機能やヘルスケアの観点からデザインしていく。
  • 高齢者の介護を仕事にしている、介護ケアデザイン指向のユーザ:介護における施設ケアや在宅ケアを、認知症医療学、心理学、生体学、ビジネスの観点からデザインしていく。
  • 医療ビジネスに関わる、ビジネスデザイン指向のユーザ:健康寿命に関連したビジネスを新たにデザインしていく。
  • 行政に関わる、社会システムデザイン指向のユーザ:健康寿命の延伸や心身の病気・障害に対するケアのために必要な制度を社会システムの観点からデザインしていく。

少子高齢化時代の健康寿命分野の価値を創造し、問題を解決し、イノベーションを起こしたい方、お待ちしております!

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