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第21回コラム
「学問は遊びだ。だから面白い!」

情報アーキテクチャ専攻 助教 土屋陽介

 このタイトルは私の指導教授に教わった言葉なのですが、ぜひ私も受け継いでいきたい言葉なので、このコラムで皆さんにも紹介したいと思います。

 私が大学で先生に出会いこの言葉を聞くまでは、勉強というと高校や大学の入学試験のためや、将来仕事で“必要であろう”知識をただただ詰め込んでいるだけでした。要するに、勉強は自分がこれから生活していくために「しなければいけない」事で、社会や世間から「やらされている」感じがしていました。しかし、先生からこの言葉を聞いてからはその考え方は変わりました。学問を遊びととらえる事で、生きていくためとか関係なく、自分の好きな事に熱中して勉強するようになったのです。遊びなのですから、とにかく好きな事をやる。そしてその勉強の成果を仕事に役立てる。そういう考え方に変わりました。

 確かに、将来の自分のため、仕事のために勉強していく事は重要ではあります。生活していくためには「しなければいけない」事なのですが、どうせやるなら楽しい方がいいですよね?そこで勉強を遊びととらえてみるのです。

 ヨハン・ホイジンガのホモ・ルーデンス(遊ぶ人)という著書にあるように、人は本来遊ぶものなのです。今日の学問があるのも先人たちの遊び心がなければここまで発展しなかったことでしょう。遊びだからこそみんな一生懸命になって学問を追究していったわけで、もし学問が苦行だったらほとんどの人が途中で断念していたと思います。また、工学の分野でも遊びというのは重要で、たとえば自動車のハンドルでも遊びが無いと運転に非常に疲れてしまいます。ちょっとした動作でも曲がってしまうため、ハンドル操作に非常に神経を使うようになるためです。

 話は変わりますが、そもそも勉強というものは「やらされる」ものではなく自分からやるものです。当然と言えば当然の話ですが。
 勉強という言葉を辞書で調べてみますと、日本語では「学習する、努力をする」などといった意味になりますが、この語源は中国語で「無理を強いる」というような意味になります。つまり「勉強」というのは無理やり知識を身につけるということになります。これでは勉強を楽しめるはずがありません。ちなみに、お店で商品を値切るときに使う「勉強」はここからきています。

 しかし、英語では勉強のことを「study」と訳すと思いますが、この「study」の語源を調べてみますと、ラテン語の「studium」という言葉が由来となっていまして、これは「情熱、熱心」というような意味になります。つまり、「study」では自分から情熱を燃やして勉強するという意味になり、日本語の「勉強」の語源とはまったく反対の意味になるのです。

 子供の頃に熱中して遊んだ遊びはとても楽しかったですよね?勉強でもそれは同じで、自分の興味のある分野に熱中して勉強するのは子供の頃には味わえなかった楽しさが得られます。たとえば私の場合、今まで分からなかった事が分かったり、何かしらの新しい発見があったりすると、気持ちがスッキリ晴れやかになり、さらに何か大きな発見があった場合はそれだけで興奮したりもします。みなさんも日本語での「勉強」ではなく、英語での「study」のように、自分が興味のあることに熱中して勉強をしてみましょう!それはきっと面白いはずですから。

 子供の頃遊びに向けていた情熱を、ふたたび学問に向けてみませんか?

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