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講義内容紹介

創造技術コース

1年次は、ものづくりに必要な体系的な知識と業務遂行に求められる基礎知識を学修します。

2年次は、PBLを通じてマネジメントに活かす業務遂行能力を獲得できるよう段階的に設計されています。PBL型科目による教育の目的は、主に1年次の科目で学修した知識を実践の場で経験する機会を提供して、修得した知識を適切に使いこなせるようになることと業務遂行能力(コンピテンシー)の養成にあります。また、PBL型科目による学習では、修得した知識をそのまま使用するだけでなく、学生に知識の応用力を養う場を提供します。

創造技術コース講義内容紹介

科目群INDEX

  • 創造技術基礎科目群
    デザインマネジメント特論、インテリジェントシステム特論
  • プロダクト・イノベーション科目群
    プロトタイピング工学特論、システムインテグレーション特論、品質工学特論、信頼性工学特論、創造設計特論
  • インダストリアル・デザイン科目群
    プロダクトデザイン特論、価値デザイン特論、コミュニケーションデザイン特論、工業デザイン材料特論、デジタルデザイン実習、デザイン表現実習、造形デザイン特別演習、プロダクトデザイン特別演習
  • デジタル技術科目群
    組込みシステム特論、システムモデリング特論、ET(Embedded Technology)特別演習、機械学習特論、AIデザイン特論、データサイエンス特論、データサイエンス特別演習
  • ヘルスケア・デザイン科目群
    ヘルスケアデザイン特論、認知科学特論、人間情報学特論
  • デジタル創生・デザイン科目群
    ⽣成系デザイン特論、デジタル空間デザイン特論、社会実装デザイン特論
  • イノベーションデザイン特別演習
    イノベーションデザイン特別演習1・2
  • 産業技術研究科科目群
    国際経営特論、国際開発特論、グローバルコミュニケーション特論、DESIGN[RE]THINKING、産業技術特別講義1、産業技術特別講義2、情報アクセラレータ特論1、情報アクセラレータ特論2、デジタル価値共創特論1、デジタル価値共創特論2、DXサステナビリティ特論1、DXサステナビリティ特論2
  • 選択必修科目群
    技術倫理 、情報技術者倫理

創造技術基礎科目群

  • デザインマネジメント特論
    近年、デザインの概念や手法論は様々な分野への拡大が著しく、情報機器やAIの革命的発展などによってデザインの概念や方法論は変革期を迎えている。デザインの言葉自体の定義も含めて、その解釈は様々である。本講義は、インダストリアルデザイン分野を中心に、これまであった革新的デザインの事例(歴史的事例)を振り返ることと、これからのデザインの 可能性・展望(未知の領域)を考えることの、大きく二つの視点から新しい方向性を考察するものである。
    一つ目は、デザインの歴史的変遷とその度に行ってきた役割から背景を考察することである。革新はどのように生まれ何を変えたのか。その背景となる時代性や技術革新と生活の変化を振り返る。長い間培われてきたデザインの原則(歴史や普遍性)とデザイナーの挑戦(理解と努力)など今の時代にも通用する基軸を論議する。
    二つ目は、情報技術や AI を含めた環境の変化に対して、デザインに求められる専門性や組織・仕組がどのように変わっていくべきか、最近のデザインプロセスやデザイン領域の拡大などの事例をもとに予測。未知の領域に向かうための考え方や思想を掴むヒントを論議する。
    それぞれに多くの事例を研究学習し、デザインマネジメントに関する基本的な知識と考え方を身に付けることで、 デザイナーやデザイン部門のマネジメントを推進していくための能力と思考方法を獲得することを目指す。
  • インテリジェントシステム特論
    インテリジェントシステムを実装上ためのコアとなる技術として、人工知能(AI)が注目されている。特に実世界で動作するインテリジェントシステム(≒エージェント≒AI)の知能は、「認識」、「思考」、「行動」に3つに分けることができる。本講義では、これらの3つの知能のうち最も基礎的であり、かつ、中核にある「思考」に関連するトピックを紹介する。特に、現在の状況をセンサなどで認識した後に、どのように行動したらよいのか考えるための「推論」や、ネットワークで接続された複数のインテリジェントシステム(≒エージェント)間の「協調」に関するトピックを紹介する。

科目群INDEX

プロダクト・イノベーション科目群

  • プロトタイピング工学特論
    創造技術におけるプロトタイピングは計画されたプロダクトの持つ性質を早期に表現する手法及びその過程であり、機能だけでなく感性的なものまで含まれる。本講義では、"ものづくりアーキテクト"として求められるプロトタイピングの知識とその運用力を習得する。講義とチーム、個人ワークを組み合わせて学び、3DCAD スキルの修得、ラピッドプロトタイピングの活用を通してイノベーティブなアイデアや商品・サービス創出におけるプロトタイピングの有効性について理解する。
  • システムインテグレーション特論
    システムインテグレーション(SI; System Integration)特論は、元来の意味であるシステムを実現するため、要素技術が賢くインテグレーション(統合)され、システム全体を構築する方法を学ぶ。そのために、SI の各種要素技術、実際例、特徴に関する知識とスキルを身につけることにより、SI 設計に関する体系の理解を実践的に学ぶ。
  • 品質工学特論
    本講義では、品質工学の中核的手法である「パラメータ設計法」「機能性評価」「MT システム」について学習する。パラメータ設計は、開発者の名前をとって「タグチメソッド」と呼ばれたり、その目的から「ロバストデザインメソッド」と呼ばれたりもする。その内容は、市場での品質トラブルを未然防止するための設計手法である。機能性評価は、品質ではなく機能を評価するための手法であり、開発設計を効率化することを目的とする。そして、MT(マハラノビス・タグチ)システムは、予測や診断、判別のためのパターン認識の手法であり、現在、様々な分野において実用化が進んでいる。
  • 信頼性工学特論
    製品や設備が与えられた使用環境や使用法で、決められた期間にわたり要求された機能を果たすかといった信頼性はリライアビリティと呼ばれ狭義の信頼性を指す。機能性だけではなく安全性も損なわないというのが広義の信頼性である。最近では製品の安全性に対する顧客や社会の目がますます厳しくなってきており、製品安全の確保は企業にとって最重要の課題である。信頼性・安全性は企業のブランド構築に大きく寄与するものである。そこで本講義では、信頼性工学の基礎を学んだ後、実務に役立つ信頼性と安全性の設計手法を学ぶ。
  • 創造設計特論
    製品やサービスの設計は、企画→仕様の決定→概念設計→詳細設計の流れで行われる。本講義では、上流工程である概念設計で使える発想法や思考法を解説する。具体的には、技術コンセプトの創出に役立つ TRIZ(創造的問題解決の理論)、複雑なシステムの設計に役立つシステムシンキングといった思考法や発想支援技法を学ぶ。さらに、製品・サービスを普及させるためには、ビジネスモデルも必要となるため、ビジネスモデル構築のためのフレームワークも解説する。個人ワークやグループワークによる演習を通じてその理解を深める。

科目群INDEX

インダストリアル・デザイン科目群

  • プロダクトデザイン特論
    プロダクトデザインに関して、その背景、知識、手法など関連する領域全般について広く学修し、「豊かな暮らし」実現のため、バックキャスト視点で課題を発見し、提案する能力を身に付ける。基礎的なプロダクトデザインの知識・スキルを有することを前提とし、講義とグループワークおよび個人ワークを組み合わせて学修する。一連のプロダクトデザインプロセスを体験することにより、デザイナーがもつ創造的な問題解決手法が広く企業や社会にも活用できることを知る。
  • 価値デザイン特論
    デザインの価値は、しばしば非言語(かたちや色といった視覚言語など)の操作(かたちの操作)による美的・感性的形式のありようとして議論されるが、本来的にはデザインされたシステムやプロダクトを通じてユーザーにどのような意味が提示できたか、というコミュニケーションや関係性の問題として議論することが重要である。
    本科目で扱う「価値デザイン」は、このデザインの価値を優先する意味の設計手法である。講義の前半では、「価値デザイン」を理解する前提として、デザインの歴史的解釈や記号的解釈、さらにデザイン思考について学ぶ。後半では、デザイン価値に基づく設計手法について、そのプロセスを具体的な事例とともに学ぶとともに、ユーザーに提示すべき意味をいかに非言語操作で表現するかというコミュニケーションや関係性の設計について、イメージボードを用いた手法で実践的に学んでいく。
  • コミュニケーションデザイン特論
    「コミュニケーションデザイン」は古くかつ新しいデザイン領域である、言葉を伝える文字から発展してきたビジュアルデザインから GUI、HMI などからインタラクションデザイン、さらには社会的な共同体との関係性構築まで概念が大きく拡大し、またダイナミックに変化を続けている。
    本講義では、目で見る言葉のデザインである「コミュニケーションデザイン」に関わっていく際に必要な基本知識の習得と概念の構築、またコミュニケーションデザインの基本スキルとプロセスを学んでいく。特に HMI(Human Machine Interface)におけるインタラクションデザインに加え、UXUI デザインといった新概念の経験のデザインの事例の紹介と研究、また実践的なスモールプロジェクトを行うことで開発実務に必要な知識やスキルの習得を目指 す。
  • 工業デザイン材料特論
    プロダクトデザイナー、デザインエンジニアは、使用する材料の物質的な特性だけでなく背景にある製造加工法、環境性、経済性など多くを知ったうえで製品に運用、活用することが求められる。
    基本的なプロダクトデザインの知識・スキルを有することを前提とし、講義とグループ、個人ワークを組み合わせて学修し、材料視点でのプロダクト提案、プロダクトデザイン視点での材料開発提案を試みることで、デザイン価値を見出す手段として工業デザイン材料をとらえる力を身に付ける。
  • デジタルデザイン実習
    デジタル技術の進歩が著しい今日、デジタルデータによるカタチの操作は、インダストリアル・デザインを専門的な職能とするものだけではなく、ものづくりに携わる人材にとって不可欠なコミュニケーションツールとなりつつある。本実習では、これから異分野として、もの作りやインダストリアル・デザイン領域を学ぼうとする学生を想定し、柔軟で多彩な表現を可能とする技能として、CAD の基礎技能の修得と、デジタルデータを活用したビジュアル表現やデジタルファブリケーションによる出力などの活用方法を学ぶ。
  • デザイン表現実習
    インダストリアルデザインでは、デザイナーはその試行を 2 次元のスケッチや 3 次元のモデルに可視化、具現化することで、自身のアイデア展開を広げ、チームやクライアントに対し対象物の新たな価値や行為の可能性を提示する。
    このカリキュラムは、各Qで開講されるインダストリアルデザイン特別演習系科目の最初のプログラムであり、 デザイナーにとって不可欠な「思考の可視化」の基本となるスキルを実践的に学ぶ。そして、この「思考の可視化」のプロセスを身に付けることで、抽象的な概念と具体的な対象との結びつきや、カタチで考えるというデザイン思考を身体化し、デザインは必ずしも答えが 1 つではなく多様性が存在するという理解につなげる。インダストリアルデザイン特別演習を継続的に履修しようという学生で、デザインの基本スキルをまだ身に付けていない学生を主対象とし、2Q以降の「かたちの操作」を行えるスキルの習得を目的に内容を構成している。
  • 造形デザイン特別演習
    本演習では、プロダクトデザイナー、デザインエンジニアを目指す者が、デザイン開発の手法を理解し、デザイン展開の技術とプロセスを学修することを目的とする。課題は各自のデザインスキルレベル、目標に応じたものとするが、デザイン経験者を中心としたグループを編成しグループ内での課題共有、相互学修によりメンバーの能力を引き出し、質の高いプロダクトのデザイン提案を目指す。課題への取り組み、発表を通して主に以下の能力の向上を目指す。
    ・企画提案力
    ・プレゼンテーション力
    ・非言語的可視化力
    ・機能と感性の統合力
    課題制作に際して、デジタルツールの積極的な活用を期待する。
  • プロダクトデザイン特別演習
    インダストリアル・デザインは、民生機器、産業機器、公共機器などの広範な工業製品とそのシステムを対象に、エルゴノミクスやエコロジーなどの機能的な視点と文化的あるいは記号的な視点を融合して、エレガントな設計解(デザイン)を導き出す手法である。
    それは、変わりやすさ(variability)を探索するプロセス(あるべき姿に近づくための実行可能なオプションを見つけること)を通じて、未だ存在しない人工物、製品、慣行を計画、設計するものである。そこで、この演習では身近なプロダクトを対象に、デザイン開発の基本ステップを体験し、ものづくりの基本スキルを修得する。

科目群INDEX

デジタル技術科目群

  • 組込みシステム特論
    組込みシステムとは、様々な装置に組み込まれ、装置の機能を実現するコンピュータシステムである。そして、これらの装置で動作し、装置の機能を実現するするソフトウェアが組込みソフトウェアである。本講義では、組込みシステムのハードウェアからソフトウェア開発までを網羅的に解説する。
  • システムモデリング特論
    組込みシステムやロボットの設計では、プロダクトの形状とともに機能や動作を実現するための制御を実現することが重要である。本講義では、まず組込みシステムの開発プロセスである V 字モデルを紹介する。次に、プロダクトに要求される機能や動作のモデリング手法とモデルを用いたシステム分析・設計を学習する。オブジェクト指向モデリング、機能要求と非機能要求(性能、保守など)の仕様化などの話題を取り上げて解説する。また、ソフトウェア要求仕様書、ソフトウェア・アーキテクチャ設計書の作成演習をグループで行い、理解を深める。
  • ET(Embedded Technology)特別演習
    動作や機能を実現する組込み技術は、近年のものづくりにおける価値創造において重要な役割を果たしている。本講義では、ラピッドプロトタイピング用の CUP ボードを利用して、動作や機能の実現方法を演習形式で学習する。具体的には、各種センサ、モーターやドライバ IC などをブレッドボード上で配線し、目的とする動作に適合するようにプログラムの作成を行うことで、組込み技術の基礎を身に付け、ラピッドプロトタイピングのスキルを修得する。2024年度まで利用していた CPU ボードのオンライン開発環境が、2026年7月にサポートを終了することが公表された。現在、2026 年度以降の CPU ボードを含む教材について検討中である。そのため、講義内容に変更が生じる可能性がある。
  • 機械学習特論
    近年、人工知能(AI)がブームになっているが、そのブームの中心となっている技術は深層学習である。また、深層学習と強化学習を組み合わせた DQN(Deep Q Network)により、多くの反射的なゲームにおいて、AI がプロゲーマ以上の能力を発揮し、その成果が 2015 年に Nature に掲載されたことは記憶に新しい。その後に登場した Alpha Go では、深層学習と強化学習だけでなく、さらに探索を組み合わせることにより、AI が囲碁の世界王者に勝利することができた。本講座では、強化学習、ニューラルネットワーク、深層学習、深層強化学習、探索と深層強化学習の組み合わせ方法などを学ぶ。
  • AIデザイン特論
    社会システムをデザインする上で重要なこととしては、社会を構成する各個人にどのようなメリットがあり、各個人あるいは分散配置された各人工知能(AI)あるいは各サービス提供者などが自分の意思で自分のメリットを追求して行動した結果、社会全体としてどのような現象が創発され、どのような影響があるのかを評価する必要がある。従来の社会科学・工学の分野では、このような巨視的な秩序と個人行動との関連性について評価することが難しかったが、コンピュータと AI 技術の発展により、ミクロレベルのシミュレーション、モデルの修正、パラメタの最適化を繰り返して、仮説、制度、社会インフラ等を評価し、改良することができるようになってきた。本講義では、これらの技術のうち、特に、文系の社会科学者も利用しているマルチエージェントシミュレーションと、パラメタの最適化技術である進化計算・群知能に注目して、社会システムのモデリング方法の基礎を学ぶ。
  • データサイエンス特論
    データサイエンスは、「データを科学的に扱う」学問分野である。本講義では、様々なデータの収集、可視化、解析、マイニング、評価等の手法に関する知識とスキルを学ぶ。この際、統計学、コンピュータ科学、システム工学論、信号処理論などの観点から、データに対して仮説発見、仮説検証が行えるよう、客観的・定量的評価を行う資質を身に付ける。さらに、データサイエンスの実習を通じて、この体系を理解し、実践を学ぶ。大規模言語モデル(LLM)の活用についても触れる。
  • データサイエンス特別演習
    データを分析し、分析から得られた結果や知見を活用する「データサイエンス」の実践能力を身に付けるためには、統計解析に関する知識だけでなく、1.現状把握に基づき課題を設定するための能力、2.分析を行うツールを使いこなしてデータ分析を推進するための能力、3.データ分析を通じて得られた内容を周囲に伝えるコミュニケーション能力など、さまざまな能力について学び、トレーニングをする必要がある。
    本授業では、現場の問題解決に役立てることにつながるデータの活用方法、データサイエンスについて、事例と演習を通して実践的な知識とスキルを修得する。

科目群INDEX

ヘルスケア・デザイン科目群

  • ヘルスケアデザイン特論
    ヘルスケアデザインは、健康の維持や増進に関する行為や健康管理にデザイン思考を適用した学問分野である。一方、ヘルスケアデザインシンキングは、ウェルビーイングの向上を目的とし、クリエイティブな思考と解決策を提案するアプローチとして注目されており、多様な考え方を受け入れる柔軟性が特徴である。本科目では、デザイン思考の基本的な原則とその応用メソッドを学ぶ。さらに、医療分野でデザイン思考を活用している先進のデザイン事務所や企業、研究機関、教育機関 が生み出す製品やプロトタイプ、そして研究を取り上げていく。
  • 認知科学特論
    認知科学は、人間の知識や認知を深く理解しようとする学際的な学問分野である。その特徴として、知的活動を心的表象の観点から分析することや、コンピュータを心のモデルとして扱うことなどが挙げられる。この分野では、脳の構造から高次認知機能や記憶のメカニズムを解明する研究だけでなく、感情、文化、社会といった側面から「心とは何か」や「子どもが心をどのように捉えるのか」といった核心的なテーマにも深く迫る。さらに、これらの研究成果を実生活に応用する動きも活発で、ユーザーインターフェイスのデザインや教育・医療福祉の環境設計など、利用者の利益を最大化する製品やサービスの開発にも取り組んでいる。これらの実用的なテーマに関する応用研究も、認知科学の重要な側面として取り上げていく。
  • 人間情報学特論
    人間情報学は、人と人、または人とモノの相互作用時に生じるインターフェースを中心に情報を理解し、そのプロセスの分析からシステムデザインまでを包括的に研究する学問分野である。現代の技術は、心拍数や血圧、体温を通じて自律神経の活動を計測することが可能になってきた。未来には、感情の変動もビッグデータとして収集されることが考えられ、人工臓器やナノロボットのような技術を体内に取り入れて、健康や病態をリアルタイムでモニタリングする時代が訪れると予想される。このようにして蓄積される巨大なデータベースは、新たな価値を生む財源となり得る。本科目では、これらの領域に焦点を当て、取り上げていく。

科目群INDEX

デジタル創生・デザイン科目群

  • 生成系デザイン特論
    日常生活において PC やスマートフォンなどのデジタルデバイスが普及する中で、以前は専門的な知識が求められたグラフィックデザインや CAD などのソフトウェアも手軽に利用可能となった。これにより、多くの人々がデジタルデバイスを通じて情報を取得・発信する過程で、単なるテキスト情報だけでなく、視覚的にインパクトのあるイラスト、写真、アニメーション、映像などのデザイン表現を取り入れることで、独自性や差別化を図っている。さらに、昨今ではこれらのソフトウェアに生成 AIが統合され始め、イラストや写真加工だけでなく、動画や音楽なども生成系デザインを活用したアプローチが新しいトレンドとして台頭してきている。
    本授業では、デジタルツールだけでなくアナログ技法も取り入れ、これから多くの可能性が秘められている生成系デザインを実際に活用し、グラフィックデザインの領域を学びながら、今後の新しい生成系デザインの活用方法やアイデアの創出方法についても探求する。
  • デジタル空間デザイン特論
    デジタル技術の急速な進化に伴い、デジタル空間デザインの領域は単なるビジュアル表現を超え、HMI(Human MachineInterface)やインタラクションデザインを中心に、メタバースやデジタルツイン、リバースエンジニアリングといった仮想空間技術を活用した新しい社会的関係性の構築へと広がりを見せている。
    本授業では、3Dスキャナ、3Dプリンター、360度カメラ、VRデバイスなどのデジタル技術を活用し、データ取得、加工、活用のプロセスを学ぶ。さらに、カラー、マテリアル、フィニッシュ(CMF)の視点を取り入れ、デジタル技術を用いたデザインの質感や視覚的表現の可能性を探究する。スモールプロジェクトを通じて、これらの技術を実践的に応用し、デザインプロセスにおける課題解決力や創造的な発想を養うとともに、CMFの選択がユーザー体験や製品価値に与える影響について理解を深める。受講生は、デジタル技術とCMFの融合による新たなデザインアプローチを実践し、社会的課題への応用可能性を探求する。
  • 社会実装デザイン特論
    本授業は、未来の社会をデザインすることである。デジタル技術や生成 AI、IoT を含む最新のテクノロジーの進展により、リモートワーク、オンライン教育、デジタルヘルスケアといった新しい生活様式が社会に浸透している。しかし、単なる技術の導入だけでは社会に受け入れられる商品やサービスを創造するには不十分である。社会実装を成功させるためには、技術の特性だけでなく、社会のニーズ、ライフスタイル、文化的背景を理解し、受け入れられやすい形でのデザインが求められる。
    授業では、既存の社会実装の具体的な事例とそれに伴う課題をデザインの観点から読み解きながら、これまでの固定概念にとらわれない創造的なデザインの視点を検討し、どのような社会実装が効果的なのかを探求する。

科目群INDEX

イノベーションデザイン特別演習

  • イノベーションデザイン特別演習1・2
    PBL(Project Based Learning)を実施する。PBLプロジェクトは 1 年を通して設計するが、単位は前期、後期に分けて成績をつける。イノベーションデザイン特別演習 1 は前期(1Q、2Q)に実施する。内容は、別途配布する「PBL プロジェクト説明書」を参照のこと

科目群INDEX

産業技術研究科科目群

  • 国際経営特論
    本講義は受講者に、今日のアジア/アフリカにおける起業/ビジネス展開のために必要な知識、能力を付与するものである。特に、ライバルが少ないニッチ的なアジア/アフリカ諸国の事情を紹介し、受講者が有利な条件で起業する機会を付与する。起業/ビジネス展開に関する他の講義と比べると、本講義は次の明確な特徴がある。第1は、ビジネスを行う場が日本国内ではなく、アジア/アフリカを前提としている。第2は、起業のための具体的な手法として、特にファイナンス面に重点を置くことである。本講義では、特に開発ファイナンス(Developmental Finance)という手法について集中的に見ていく
  • 国際開発特論
    この講義は、学習者が、今日の発展途上国の発展問題についての理解を深め、開発援助の手法についての実務的な能力を身に付け、さらには具体的な開発援助プロジェクトを企画立案できる能力を獲得することを目的とする。具体的には、学習者はこの授業を通じて以下の知識や・能力を習得できる。
    1. 開発援助の基礎的概念と、新古典派経済成長理論に基づく通常の開発経済学上の基礎を理解する
    2. 国際関係論等新たな視点に基づく開発援助の捉え方を理解し、具体的な開発援助プロジェクトに関する実務的な企画立案能力を獲得する
    3. さらに、開発援助のファイナンス面についての実務的知識を獲得し、開発援助を開発ファイナンスという特殊な「カネの流れ」として理解し、ビジネス機会を捉える能力を獲得する
  • グローバルコミュニケーション特論
    本講義の目的は明確である。受講者に、国際場裡でこれから世界を相手に闘って、勝てるようになって欲しい。ビジネスでも、外交でも、政治でも、国際場裡で自国民が外国人に負けまくっている状態では国家の発展はない。そのため、国際場裡での闘いにおいて「勝てる」ようになるために必要な能力として、第1に、現下の国際情勢に関する鋭敏な理解力、第2に、今後の世界の動向を俯瞰する文明史的視座の理解力、第3にディベート能力、すなわち世界で外国のライバルを相手に議論で「勝つ」能力を付与する。
  • DESIGN[RE]THINKING
    デザイン思考とはなにか最低限の学習を行い、その可能性と限界について考える授業としたい。デザイン思考はデザイナーがデザインする時に行うプロセスを単純化した方法論として生み出された。デザイン思考はだれもが簡易にデザインを再現できる方法論として優れているが、これだけで優れたデザインができ得るわけではない。複雑化された社会の中で、優れたデザインを生み出せば問題が解決できるわけでもない。デザイン思考の異種としてアート思考が生まれて近年賑わっているが、アート思考で可能なことも限られている。その批判としてまた新たな思考法が取り沙汰されるが、そもそも思考だけではない実践の中に知があるという立場がある。デザイナーとアーティストは思考法の存在そのものを否定している。
    本科目の前半は、デザイン思考/アート思考はどのような概念・手順で考えることができるか各自で自ら思考し、実践することで学ぶ。後半はデザイン思考/アート思考の可能性と限界に自覚的に考え、新たな思考法と実践を自ら考える機会を与えたい。参加者は思考と実践の形として、授業で課される宿題と最終レポートを通して検討を深めてほしい。
  • 産業技術特別講義1
    すべての情報システムにおけるインターフェースは、問題を解決するため、または私たちの生活をより良く、より簡単に、より成功させるために設計されている。私達は身近にあるPCやスマートフォンなどの様々な端末を通して、その設計者の意図とデザインを毎日体験しており、ボタン、ジェスチャー、フォントの選択、配色など、すべてUI/UXデザイナーによって設計された実例を観察すると、そこには原理と原則があることがわかる。本稿講義では、UIとUXデザインを実例ベースで紹介し、原理原則を理解した上で、自身の制作に取り入れられるような実践的な講義を指向する。
  • 産業技術特別講義2
    当科目は大規模言語モデル(LLM)の理論と基本的な実装方法を扱うLLMは産業社会に大きな進歩をもたらし、幅広い業種で活用されている。一般的な質問応答タスクにとどまらず、多様な目的で用いられる。テキスト分析や既存データの可用性改善、システム制御用コンポーネント用途としても利用される。LLMは高度な指示追従能力により柔軟な対応能力をシステムに付加する。それにより提供可能なサービスの幅を広げる意義を持つ。当科目ではLLMについて体系的に理解できるよう説明する。LLMをプロダクト開発に応用するための実用的な手法に重点をおく。プログラミング演習ではPythonを使う。
  • 情報アクセラレータ特論1
    本講義では、情報技術を活用して起業・創業に必要な基本的知識と技術を学ぶ。デザイン思考やカスタマージャーニーといった手法を通じて、顧客のニーズを的確に把握し、ユーザー中心の発想法を養う。さらに、ノーコード・ローコードツールを活用し、簡易的なプロトタイプを作成することで、アイデアを素早く形にするスキルを体験的に習得する。情報技術を取り入れることで、起業プロセスの効率化を図り、迅速な仮説検証を実現することを目指す。また、グループ演習やフィードバックを通じて、新たな視点を発見しながら、自らの可能性を広げるきっかけを提供する。起業に興味がある初心者や基礎を固めたい者に最適な内容である。
  • 情報アクセラレータ特論2
    本講義では、「情報アクセラレータ特論1」で習得した情報技術や生成AI、データ分析、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する知識を活用し、新規事業創出や起業に必要な実践的スキルを習得する。ノーコード・ローコードツールを用いたプロトタイプ作成、仮説検証、ユーザーテストや市場調査を通じて、アイデアを迅速に形にし、市場適合性を検証する。また、VC(ベンチャーキャピタル)へのピッチを模擬体験し、効果的な提案スキルを磨く。グループワークを中心に進行し、教員のフィードバックを活かしながら、最終的に事業計画とプロトタイプの完成を目指す。
  • デジタル価値共創特論1
    • 本講義はデジタル時代における「価値創造の方法論」を教授するものであり、大きく「講義」と「チーム演習課題」のパートによって構成される。
    • 主な内容は「共創」の概念を整理し、「創造性」「価値創造」を定義し、デジタル手法を身につける上で忘れてはならない「感性と身体性」「直感と理論」といった対の概念の知識を身につける。
    • 未来の価値創造に必要な「未来想定」から「提供価値の企画立案」までのプロセスを紹介し、それを参考にチームワーキングによる提供価値を共創でデザインする。
    • チームワーキングテーマ:「担当教員と考える東京のタマシマの未来」
      10年先くらいの東京の「多摩」「島」地域の未来を想定し、そこに生活する人に「喜び」「幸せ」を与える「価値」を創造する。
  • デジタル価値共創特論2
    • 本講義は、デジタルかつグローバル時代における「多様な価値協調論」を教授するものであり、大きく「講義」と「チーム演習課題」のパートによって構成される。
    • 本講義は様々なクライアントと共にクリエイティブ活動を行ってきた人や外国人として外国でクリエイティブ活動を行ってき た人の具体的な経験を通し、多様的価値の意味と有用性の理解を深め自分形の考えを構築する。
    • 未来の価値創造に必要な「未来想定」から「提供価値の企画立案」までのプロセスを紹介し、それを参考に後半は様々な 経験を持つメンバーとのチームワーキングにより提供価値を創出する。
    • チームワーキングテーマ:「担当教員と考える東京のタマシマの未来」
      10年先くらいの東京の「多摩」「島」地域の未来を想定し、そこに生活する人に喜び」「幸せ」を与える「価値」を創造する。
  • DXサステナビリティ特論1
    複雑さ・不確実さを増す事業環境下、既存事業の延長のみで企業収益や企業価値の継続が将来共に約束されるとは考え難い。大量の賃貸資産等を有する大手不動産会社といえども例外ではなく、既存事業の進化・拡張や新事業の創出により持続的成長を図る必要がある。不動産開発事業を題材に、顧客の課題やサステナビリティなどの社会課題と自社の強みを組み合わせ事業の進化や創発をする事例の、考察や分析をおこなう。「不確実性から始まる」ともいわれる不動産開発事業は、流動的で途中は上手くいかないことも多く、リスク(振れ幅)と曖昧さに対峙しなければならない起業家の世界に通ずる。市場の選択、事業計画、製品・設計、生産管理、販売、管理・運営など一連の事業プロセスでの意思決定を支える価値観と、事業をマネジメントする手法や心構えを学ぶ。
  • DXサステナビリティ特論2
    競合他社のものに比べ付加価値の高い商品やサービスを提供する「差別化」は、事業の収益性を高めるだけでなく、新規事業を展開する上でも有用な戦略である。顧客や社会にとって意味のある課題の発見と解決のために、技術やサービスの実証・実装・商品化を行う活動と、それを支える人材や社内外連携などについて、実例の考察と分析を通して学ぶ。サステナビリティの取り組みと企業価値向上の両立や、現在進められているDX化の活用についても考察する。

科目群INDEX

選択必修科目群

  • 技術倫理
    ものづくりアーキテクトは間違いのない意思決定をする必要がある。このような意思決定の際、技術倫理に関係する問題について判断できるようになるためには、倫理問題についての理解を深める必要がある。特に、事前に起こりうる問題を想定して、予めその回答を用意するトレーニングを通じて技術倫理に関係する問題解決能力を取得することを目標として授業を設計している。受講者には討論への参加、演習課題についてレポートの提出、自ら探した事例についてのプレゼンテーションを求める。
  • 情報技術者倫理
    生成AIやネット技術が高度化する中、この科目では、「何故、情報技術者に倫理観が必要なのか」といった問いかけから、情報技術者に関係する各種法令やガイドライン、ルール、マナー、エチケットが構成されてきたことを確認し、その重要性や社会的背景を考慮しながら、自らの業務にどのように適用させるべきかを考え、グループで検討する。また、この科目で検討していく内容は、システム開発者や情報化の推進者として様々なジレンマに直面することがあるが、これらの事象は、情報技術の発展が定着したビジネスルールと相反するものがあり、どの様に解決すべきか、常に倫理的に考えていく必要がある。講義の進め方は、1週間の中で都合の良い時間にWeb教材による事前学習を行い、大学院でのハイフレックス・オンタイムによるとグループディスカッションによって考えを深化させ、その成果を導く「ブレンデッド・ラーニング」とする。

科目群INDEX

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